「生協の白石さん」不思議な本が売れる世の中だなぁ~ [小説いろいろ]
現在、ベストセラー街道を独走中の本、「生協の白石さん」。
みなさんはもう読みましたか?
「え、そんな本聞いたことない」と言う、ちょっと時代遅れぎみのあなたのために簡単に紹介すると
「生協の白石さん」とは、東京農工大学生協職員の生協の職員である白石さんのこと。
生協では、学食や売店に対する学生の意見を募る一言カードなるものがあるそうで、普通は、「学食がまずい!」とか、「どこどこのノートを陳列して」とかを受け付けて、それらに対して回答してるんだけど、中にはフザケ半分で書いた学生の「恋の悩み相談」「人生相談」とかもあるんだとさ。
で、白石さんはそれらフザケ半分の一言カードに対して、時にはユーモアに、時には真剣に回答をしてあげる方だそうで、そのことがネットを中心にクチコミで話題となり、この度、その一言カードと回答を1冊の本として出版したのが、「生協の白石さん」なる本な訳さ。
■生協の学生と白石さんのやり取り
【学生】
「一人暮らしでさびしいので話し相手になってくれたり、ごはんを作ってくれたりする便利な美少女ロボットがほしいです。」(西尾謙一)
【白石さん】
「生協で上記の様なロボットは購入できませんし、おそらく生協以外でも購入は難しいでしょう。
しかし、このような願望に依存しない大学生活を送っていただくことを強く望みます。
お名前欄お見受けして感じたのですが、もし本名でこのようなひとことカードを提出する度胸があれば、この先どんな困難でも乗り越えられる気がすますよ!」(白石)
まあ、こんな感じのやり取りが、100ページあるかないかの中で展開されます。
別に小説でもないし、エッセイでもないし、何とも不思議な味わいの本で、しかもページ数もすごく少ないので、30分もかからずに読み終えてしますのです。
とにもかくにも、この本は白石さんの「ユーモアあふれる人格」に全てが委ねられており、全編を通して展開される、「ほのぼの」感が好きな人には、かなりはまることま間違いないでしょうね。
ちなみに、私の友人、「34歳・のんびり系・独身・女性」は、かなりはまってました。
私はと言うと・・・ねじまがった性格なので、「けっ!」とか思っちゃったりしましたけどね。。。
オススメ度:★★☆☆☆
「もっと、生きたい」「シャトウルージュ」新旧を代表する駄本をメッタ斬り [小説いろいろ]
最近、仕事が忙しくで難しい本の読むのが辛かったので、普段は絶対に読まないような、所謂「駄本」を冷やかし半分で読んだので、ストレス発散がてらメッタ斬りちゃいます。
まずは、これ。ネット小説家(?)Yoshi先生の「もっと、生きたい・・・」。
Yoshi先生の本は、大ベストセラーとなった「Deep Love」を読んで小説としての存在自体が「ありえね~」レベルだったので、もう2度と読まないを誓ったのですが、友達に「もっと、生きたい、歴史に残る駄作だから、違った意味で読んだ方がいいかも」と言われ、読んでみることにしたのですが・・・
Yoshi先生のオフィシャルサイトより。
「あまりの過激さゆえ書籍化は不可能とされYoshi自らが封印。
しかし、4年の時を超え… 読者からの強い要望がYoshiの封印を解き放った!!」
だとさ。
「あまりの過激さゆえYoshi自らが封印」ってさ、一生封印してろっつーの!
「読者からの強い要望がYoshiの封印を解き放った!!」ってさ、解き放つなつーの!!
もうね、バッサリと斬り捨てます。
100歩、いや1000000歩譲っても、これは小説とは言えない。
つーか、小説と認めてはイケナイ。
まず、内容以前の問題として、そもそも、小説としての最低限の体をもっていない。
ネット発なので文章が横書き、読者の対象が若者前提なのでひらがなばっかし、文章自体の表現が有り得ないほどに稚拙で、「全国小学生作文コンクール」の作文よりも低いレベル。
こんなものを、よくもまあ、「小説」として出版できるものだなぁ、っとある意味で関心すら覚える。
さらに、内容がまた、ホントにくだらない。
ある日突然、携帯電話に謎のメールが送られてくる。そして、そのメールを見た人物の肉体の一部(目、耳、足とかと)が忽然と消えてしまうと言う、不可解な事件が起こる。
何故、肉体が消えてしまうのか?消えた肉体はどうなったのか??
そして、メールを送ってった犯人は一体誰なのか???
まあ、こう書くと「ちょっと、面白そうなホラーミステリーじゃない?」と思った方、それは私の表現に騙されただけで、大きな勘違いなのです。
書評の掟として、あえて「オチ」は書きませんが、この「オチ」がホントにヒドイ。
つーか、唖然とさせられる!
「はぁ、なんじゃそれ、ありえねーだろー、そんなの!!」って感じ。
それこそ、質の悪いホラー漫画でも有り得ない「オチ」です。
アマゾンの中古で超安売りしてますので、私と同様にどれほどヒドイのかを確かめるのもありかと思いますよ、21世紀を代表する「駄本」の1冊であることは間違いないので。
オススメ度:★★★★★(21世紀を代表する「駄本」を体験すると言う意味で)
もう1冊は、「元祖・駄本作家」、渡辺淳一先生の「シャトウルージュ」。
「ドレサージュ(調教)によって女は変貌する」by帯びのコピーより
なんとも、下品な表現である。
つーか、ヒドイ女性蔑視である。
内容は、エリート医師とお嬢様育ちの美しい妻。2人の愛情はすっかり冷め、1年以上セックスをしていない。そんな冷め切った2人の関係に再び火を点すべく、夫はフランスのある組織に妻をドレサージュ(性の調教)を依頼するのである。フランスにある秘密のシャトウ(城)で繰り広げられる、様々な性的ドレサージュによって、妻は見る見るうちに変貌を遂げていく。帰国した妻とのセックスに、今までにない満足を得る夫であったが、妻の心は夫の元を離れ、ある行動にでるのであった。。。
エリート医師が妻へ性的ドレサージュを行う。
なんじゃ、それ!? しょーもない、三文エロ小説と何ら変らない低俗な設定に辟易である。
映画にドラマに大ヒットを飛ばした「失楽園」もしょーもない内容だったけど、この作品もそれに勝るとも劣らずのレベルである。
最近の淳一先生は、「現代人の愛の不毛」を好んで書くようで、現在も日経新聞に違った意味で大好評連載集の「愛の流刑地」、通称「愛ルケ」でも「シャトウルージュ」同様に、中年オヤジの既に勃つことも、射精することもないであろう、股間を刺激し続けているのである。
日経新聞・11月3日の「愛ルケ」より、
「1日、なにもすることもなく、ひたすら日が過ぎるだけを待つ。そんな男にとって、自慰ほど気持ちが安らぐ行為はない」
「(注:主人公は罪で拘留中)自慰こそ、身柄を拘束された男の、唯一の反抗の手段でもある」
上記を読んで頂いてお分かりのように、内容以上にヒドイのが小説としての表現である。
「そんな男にとって、自慰ほど気持ちが安らぐ行為はない」
「自慰こそ、唯一の反抗の手段でもある」
・・・・・・・。
「シャトウルージュ」&「愛の流刑地」、これが本当に直木賞作家の書く書物なのだろうか?
こんな人が現在の直木賞の選考委員をしてるとは、何ともお粗末な話である。
オススメ度:★★★★★(日本を代表する大家の「駄本」を体験すると言う意味で)
Yoshi&渡辺淳一。新旧を代表する大作家の「駄本」、「ホントにダメなのか?」と疑問を持った方は、是非、この機会にお試しあれ!
「グレアム・ヤング毒殺日記」16歳少女が傾倒した殺人キラーの話 [小説いろいろ]
16歳の女子高生が、自分の母親に猛毒のタリウムを服毒させた疑いで逮捕され、彼女が好きな有名人として「連続殺人鬼 グレアム・ヤング」をあげた事で、さらに注目が集まることになったこの事件であるが、私が「グレアム・ヤング」を初めて知ったのは、今からもう10年近く前かなぁ。
新宿の映画館で確かレイトショー公開された「グレアム・ヤング毒殺日記」。
この映画で初めてグレアム・ヤングの名を知り、映画自体も結構面白かったので、その後この映画の原作ノンフィクションも古本屋で購入し、今でも持ってはいるのだが、まさか、この本というかグレアム・ヤング自体がこんな形で広くお目見えするとは思わなかったなぁ。
グレアム・ヤングとは・・・
14歳の時に継母を毒殺し、次に実父にも手を掛けたのだが、その途中で犯行が発覚し逮捕される。服役して数年後に出所するのだが、就職先でも周囲と上手くいかずに再び毒殺事件を起こし、再逮捕される。1994年(結構最近まで生きてた)獄中で謎の死を遂げる。死因は未だに不明である…
日本で言えば、近年多発する14歳の未成年による凶悪犯罪事件の海外版って所でしょうか。
14歳の犯罪と言うと、「(凶器による)暴力」による殺害が普通だが、グレアム・ヤングは「薬物」と言う、非常に高度な知識・経験に基づく殺人と言う点、しかも服役後も犯行を続けてと言う点に於いて、犯罪史上稀に見る凶悪な犯罪である。
しかし、映画版なり小説版を見る限りでは、「凶悪犯」と言う印象は希薄なのである。
映画版は、どちらかと言うと「ブラック・コメディ」といった風合いで、「ドキュメンタリータッチの実録犯罪映画」的な感じではないので、結構楽しめる仕上がりになっているし、小説版の方は、グレアム・ヤング本人の日記や告白を元に編集されたノンフィクション小説なので、映画版よりははるかにグロテスクな印象はあるものの、何人も毒殺した凶悪犯的な感じはしない。
何故か?
彼は「殺人」=「死」そのもの自体に興味を持ってのも事実だが、それ以上に「毒」「研究」「観察」と言ったことに興味があったようにも思われるので、私の印象では「殺人犯」と言うよりは、「毒物マニア」「毒物研究者」「死の愛好家」と言った印象の方が圧倒的に強い。
これって、一般的と言うか、正しい道で表現すると「学者肌」になるんじゃないあなぁ。
ちょっと語弊があるかもしれないけど、大学や企業の研究員、研究に携わってる人も基本的には、ある物事に対する「興味」から、それを「研究」「観察」し、それを「解明」するのが仕事かと。
現に、「毒物」や「死体」「死」についてを仕事として日夜「研究」「観察」してる人は、世界中に何万人といるはず。だからと言って、私自身はグレアム・ヤングを美化するつもりも、正当化するともりもないんだけど、今回の16歳の少女に限らず、グレアム・ヤングには熱狂的なファンが多いらしい…
とは言え、やはり「憧れ」を「現実(毒殺未遂&観察)」にしてしまった16歳の少女には、相当の問題がある訳で、一日も早い真相の解明に期待したところですね。
ちょっと話が小難しくなってしまいましたが、今回の毒殺未遂事件の少しでも興味をもった方は、この小説を読んでみることをオススメします。「毒」に魅せられた人間の深層心理が窺えます。
映画版はDVDは既に廃盤になってしまったようなので、レンタルで見てみてください。
オススメ度:★★★☆☆(映画&小説ともに)
「黒い看護婦」魔性の女が繰り広げる戦慄の事実に迫る傑作小説! [小説いろいろ]
2001年8月に福岡で起った、4人の元看護婦による保険金殺人事件に迫るノンフィクション小説。
今年読んだ本の中では5本の指に入るね、これは。必見中の必見!!!
事件の概要は、主犯格の元看護婦吉田純子が、幼馴染で同じ看護婦である堤美由紀から金を騙し取り、さらに学生時代の看護婦仲間だった石井ヒト美、池上和子からも詐欺で金を巻き上げる。
これだけでも、酷い話なのに石井ヒト美、池上和子は純子の指示に従い、なんと各々の夫殺害を自らの手で実行し、その後は吉田純子が「女王様」として、堤美由紀、石井ヒト美、池上和子の3人を下僕として従え、自身のマンションに住まわして身の回りの世話から金の世話までをさせていた。
しかも、純子は3人の子持ちながら、堤美由紀に同性愛(レズ行為)を強要し、2人の肉体関係は10年以上にも及び、性欲の強い純子は夜な夜なセックスを求めてた。。。
これだけ読んだだけでもスゴイ「ドロドロ感」が伝わるかと思いますが、実際の詳細はもっと強烈。
前回紹介した桐野夏生作「OUT」でも、4人の主婦が殺人や死体遺棄に染めていく過程が克明に描かれていましたが、この小説を読んだ時「まあ、実際に死体解体を手伝う主婦はいねーよなー」っと思ったのですが、とんでもない!、死体解体(遺棄)どころか、実際に殺人を手伝うんですよ。
主犯の吉田純子がとにかくスゴイ人物で、学生時代から虚言壁を持ち、そのまま大人に成長して詐欺行為を次々に重ねていく。さらに、この女のスゴイ所はその虚言を使って、堤美由紀、石井ヒト美、池上和子らを次々に騙し、金を巻き上げて、殺人まで行わせてしまう。
オウム真理教の麻原もそうですが、自身が直接的に殺人行為に及ぶのではなく、「マインドコントロール」によって他人を操り、その他者によって実行をさせてる。
そう、この主犯である純子はまさに「女・麻原彰晃」なのである。
事件に関わってしまった、堤美由紀、石井ヒト美、池上和子ら3人は、元々は平凡な主婦であり、人柄て的にも「控えめ」「地味」「気が弱い」など、決して殺人など出来る人間ではなかったはず。
しかし、純子という「悪魔」に関わったことから、皆、自我を失い人間として堕落していく。。。
私は「殺人」と言うもの大変興味があり、この手のノンフィクションをよく読みます。
「殺人に興味がある」と言うと、「え、ピカチュウさんは変人?ヤバイ人」っと思うかもしれませんが、私が興味あるのは「殺人そのもの」ではなく、「何故、殺人に至ったのか?」と言う、その「過程」であり、殺人に手を染めてしまった人間の「心の闇」に大変興味があります。
人間って、誰しも自分の思い通りに行かない障害物があると、それを疎ましく思い、払いたいと思うものだと思う。その障害物が人間だった場合、「死んで欲しい」「殺したい」と思うことはあるはずだが、実際に「殺す」と言う行為にまではいかないはず。
「殺したい」と言う願望・欲望が、「殺す」と言う事実行動に至るまでの、人の「心の葛藤」や「心の闇」の真実にもの凄い興味があるんだよね。
ちょっと話しがディープになってしまいましたが、とにかくここに登場する4人の女達の心の葛藤や犯行の手口、さらに純子の実母の呆れた発言など、マジでスゴイ小説です。
■純子の夫の会社の同僚が仕事中に他界し、それについての純子と実の母親と美由紀の会話。
純子「(無くなった同僚の)奥さんにとっては、(旦那が死んで)かえって良かった」
母「どうして」
純子「労災保険がおりて悠々自適(の生活)らしいよ」
母「そりゃあうらやましい」
美由紀「でも、奥さんは寂しいんじゃないかね、旦那が死んで」
純子「そんなことない。子供が三人おったら、男なんかもういらんよ!」
母「そうそう、何も役に立たん他人(夫)は、おらんほうがいいよ、美由紀さん」
美由紀「・・・・・・・」
※本文を抜粋の上で表現は省略化してますが、ほぼこのイメージ。
悪魔と化した娘・純子。またその母も悪魔を産んだ魔女なのかも知れない・・・
■追記:新潮社のサイトに当作品の立ち読みがあったのでリンク入れときます。
気になった方はちょっと読んでみてね~
http://www.shinchosha.co.jp/books/html/4-10-472101-8.html
オススメ度:★★★★★
桐野夏生の(ほぼ)全作品を一挙紹介!! [小説いろいろ]
読書の秋にふさわしい季節になったので、秋の夜長にピッタリの小説を紹介。
つらつらと好きな本を羅列するのも何なので、今日は私の大好きな桐野夏生さんの本を簡単なコメントとともに紹介したいと思います。
ちなみ、下記の紹介リストは私の好きな順番に並んでいます。
1.柔らかな頬
私の個人的な感想としては、桐野作品のベスト1。
不倫相手の家族と共に旅行最中に、忽然と娘が行方不明となってしまった。。。
娘は誘拐されたのか?誰に?事件に巻き込まれたのか?何故に?それとも不倫の代償なのか?
読み始める前は、単なる誘拐ミステリーかと思ったが、とんでもない。
この本の核は主人公カスミを中心にした、人間の心の闇や葛藤への探求って感じだった。
とは言え、最後には「行方不明になった娘がどうなったのか?」と言う、謎解き(ミステリー)部分へも追求するのだが、またこのラストのオチがスゴイのなんのって、もうね「絶句!!」の一言。
この「絶句」モノのラストを巡っては、かなりの賛否両論を巻き起こし、このラストに納得行かない人には「何なんだよ、この本は!」と怒りの声が殺到していたけど、私的には最高のオチでした。
このラストのオチで、私が感じた「喪失感」「虚脱感」こそが、主人公カスミの「喪失感」「虚脱感」であり、私は長年本を読んできて、本の主人公の感情がここまで自分とシンクロしたのは、この本が始めての体験でした。
ホント、傑作中の傑作!!
オススメ度:★★★★★
2.グロテスク
昼はエリートOL、夜は街角で体を売る娼婦。
すっかり有名な事件となった「東電OL殺人事件」をモチーフに、何故エリートOLが堕落した娼婦に身をを堕としたのか、その心の闇に肉薄する、これまた必見の1冊。
桐野夏生さんの作家としての奥深さと言うか、本質を知るには絶好の本でしょうね。
ここに出てくる女たちが、もうね全員嫌な女ばっかり。
「嗚呼。女ってスゴイ生き物なんだなぁ・・・」っと、読後、ちょっと女性に対する認識変わったもん。
参考までになんですが、実際に事件あった東電OLってホントにスゴイ人で、安いラブホのベッドでウンコやオシッコを巻きちらしたり、超満員の井の頭線の最終電車の中でコンビのおでんをガツガツ食べてたり、ちょっと常識では考えられない人物だったようです。。。
オススメ度:★★★★★
3.OUT
TVドラマ化&映画化されたので、桐野夏生の本で一番売れて、一番有名な作品。
深夜の弁当工場で働く主婦が、ひょんなことから殺人を起こし死体を解体、さらに、殺人解体をビジネスとしてヤクザとも絡んでいく、みたいな。
とにかく、この作品は窮屈な生活閉じ込められた4人の女が、殺人をきっかけにまさに「OUT!」していく姿が最高のカタルシスを与えてくれる。
オススメ度:★★★★★
4.残虐記
これも、新潟で起きた女子児童誘拐監禁事件という、実在の事件にインスパイアされた作品。
もうね、この作品はとにかく出てくる人物たちにの「グロさ」に唖然とさせられるね。
誘拐された少女のあざとさとか、誘拐した男の汚さ、2人の監禁生活を覗き見してた隣の男。。。
読んでいてフィクションとは分かっていても、生理的にキモイくて「ウゲ」っとなってしまう。
オススメ度:★★★★☆
5.玉蘭
桐野作品ではちょっと異色の作風かも。
仕事や恋に挫け上海へ留学する主人公とその元恋人、そして70年前の大叔父とその恋人。4人それぞれの視点で物語は進んでいくのだが、大叔父が幽霊となって現代の主人公の前にあわられるという、ちょっと不思議な構成をとっている作品です。
作者自身が「有子を好きになるか嫌いになるか、でこの小説の好みがはっきりした感がありますね。」と語っている様に、この主人公に感情移入できるか否かで、この作品への評価が変るかも。
オススメ度:★★★★☆
6.ファイアボール・ブルース
女子プロレス界で生きる女たちに焦点をあてて、そこで生きる女の生き様だったり、ちょっとしたミステリー風な事件が起きたりと、桐野作品としては割合地味な方なんだけど、私は好きですね。
まあ、私が小学生の頃から女子プロレス・ファンということもあるけど、女子プロの狭い世界をよくとらえてるし、神取忍を彷彿とさせるレスラーの描写なんかは最高にウマイ!
オススメ度:★★★★☆
7.天使に見捨てられた夜
ミロ・シリーズの第2弾。
この頃の桐野さんは所謂「ミステリー作家」として売り出して間もない頃なので、この作品もミステリーとしての体裁をとっています。
女性を主人公にしたハートボイル・ミステリーで、謎解き自体もかなり面白いし、ミロを取り巻く脇役たしも魅力的な人物ばかりで、「ミステリー小説」としてはかなり良い出来だと思う。
桐野さんの入門編としては、一番入りやすい作品なんじゃないでしょうかね。
オススメ度:★★★★☆
8.ダーク
この作品ね、ある意味でどーしょーもない「駄作」でもあり、ある意味で「傑作」だと思う。
桐野夏生と言えば、江戸川乱歩賞受賞の「顔に降りかかる雨」に始める「ミロ・シリーズ」なのだが、そのミロ・シリーズの最新作でありながら、その圧倒的な「いっちゃった状態」に、私は読後に唖然とさせられたのは事実だね。
だって、今までのシリーズ中の登場人物がいきなり死んじゃったり、親友を騙し打ちにしたり、裏切ったりと、愛する人間の死によって自暴自棄気味になったとは言え、ミロはやりたい放題。
つーか、根本的に「ストーリーの辻褄性」とか、「ストーリー楽しませる」と言って、小説としての手法すらも破棄したのでは?と思える程のやりたい放題なのです。
とは言え、この「破天荒」ぶりが、いかりにも桐野夏生らしいし、「次に何が起こるか全く予想がつかない」ところに、私みたいなファンは惹かれるのだと思う。
なので、ちょっと初心者向けの本ではありませんし、シリーズものなので、「ミロ・シリーズ」を気に入った方は絶対に見るべきでしょうね。
オススメ度:★★★★☆
9.リアルワールド
母殺しの少年とその少年に興味を抱き、本当の自分を発見し破滅へと向かう4人の少女の話。
4人の少女の内面と殺人を犯した少年の内面への切り込みは、「さすが桐野夏生」って感じではあるんだけど、まあ、ここ数年の仕事としては普通な仕上がりに感じるなぁ。
ちょっとね、どの人物の内面も紋切り型な感が否めないんだよね。
オススメ度:★★★☆☆
10.顔に降りかかる雨
ミロ・シリーズの第1弾。この作品で江戸川乱歩賞を受賞し、作家・桐野夏生が誕生するきっかけとなった輝かしいメジャー・デビュー作。
作品としては、乱歩賞ということもあり、「殺人事件にまつわる犯人探し」=「ミステリー」と言う枠組みを使ってはいますが、やはり、そこは桐野夏生。
この作品の魅力は何と言っても、主人公・村野ミロであることは間違いない。
私の桐野作品デビューもこの作品であり、すっかりミロの魅力にはまってしまったことから桐野作品を読破、現在に至っています。
「ダーク」では、とんでもない方向に行ってしまったミロですが、ミロ・シリーズの最新作が待ち遠しくてしかたありません!!
オススメ度:★★★☆☆
11.ファイアボール・ブルース2
「ファイアボール・ブルース」の続編。
前作は中途半端なミステリー仕立てではあったが、今作ではそういった仕掛けは一切なし。
桐野作品って、「泣ける!」とか、「感動!」って言うのが無いのだが、この作品は唯一それらが当てはまる作品になっている。
特に、中学&高校生時代に部活等でスポーツに青春をかけた人は絶対にはまりますね。
オススメ度:★★★☆☆
12.I'm sorry,mama.
本の内容とは関係ないのですが、この本の装丁が大好きです。
で、内容てきには、はっきりいって意味が解らない。
つーか、「テーマ」とか「ストーリー」とか、そういった「小説」的なモノは無いと言っても過言じゃない
とにかく、主人公は勿論、出てくる人物が奇人変人ばっかり。
オススメ度:★★★☆☆
13.水の眠り 灰の夢
ミロ・シリーズの番外編的な作品。主人公ミロの父・村野善三の若き時代のお話。
ストーリーと言うか、小説としては非常に良く出来ていますが、所謂「桐野節」があまり感じられる、至ってオーソドックスな作風になってます。
まあ、そんな作品です。
オススメ度:★★★☆☆
14.ジオラマ
短編集。全編を通してつまらなくはないのだが、やはり桐野さんは長編でこそ作家としての真価が発揮されるので、短編集としての水準としては低くないと思うが、これと言って残るものはないなぁ
オススメ度:★★☆☆☆
15.ローズガーデン
こちらは、ミロ・シリーズの短編集。
「ジオラマ」と比べると短編集としてのテーマ的なまとまりはあるものの、ミロの青春時代とか、元恋人との話だとかが短編で綴られるので、長編のミロ・シリーズと比べるとテンションが下がる。
オススメ度:★★☆☆☆
16.錆びる心
これまた短編集。タイトル「錆びる心」でもわかる様に、人間の心の闇を切り取ったちょっと怖い感じの作品が集められているが、なんか微妙に作品集としてのまとまりが無いの。
バラエティに富んでると言えば聞こえがいいんだけど、どちらかと言うとばらばらって感じ。
桐野さんって、短編であっても長編的なアプローチを試みる作品が多いので、話がブッツリ尻切れトンボ風なのが多々見受けられる。
私の大好きな宮本輝さんの大傑作!「星々の悲しみ」を読むと、そのアプローチ差が非常に分りやすいかもしんないです。話がそれたけど、ホントにオススメです。
オススメ度:★★☆☆☆
17.光源
多分、桐野さんの作品の中でも一番ヘンテコリンな作品。
映画制作に関わる人々の話なんだけど、一体、桐野さんは何を書きたかったのか?全く不明。
つまんないって訳ではないけど、決して面白くはないし、感動もなければ何も残らない・・・
オススメ度:★★☆☆☆
で、ホントはこれ以外に「魂萌え!」「アンボス・ムンドス」があるのですが未読です。
かなり長くなったので、「どれを読めば良いのか分らん!」という方には、
桐野入門編:「顔に降りかかる雨」「OUT」
桐野上級編:「グロテスク」「ダーク」「柔らかな頬」
ミステリー好き派:「顔に降りかかる雨」「天使に見捨てられた夜」「水の眠り 灰の夢」
読書は文学だ!派:「柔らかな頬」「グロテスク」
気軽に読書派:「ファイアボール・ブルース」「ジオラマ」
ドロドロ大好き派(昼ドラマ好きの方):「グロテスク」「残虐記」
って感じでしょうかね。
はぁ~、それにしてもこれだけレビューするのかなり疲れた。。。
ご自慢の本棚公開&「謀殺 下山事件」戦後最大のミステリー [小説いろいろ]
今日の東京は秋の晴天につき、絶好の掃除日和!!
ということで、朝9:00から掃除&洗濯に精を出し、ついでに本棚の整理もしました。
そこで、私の超ご自慢の本棚をご紹介します~。
■本棚1

日本の小説、文庫本が多分2000冊位あると思います。
■本棚2

海外の小説と単行本が700冊位あると思います。
■部屋

玄関から入って、真正面に文庫の本棚、ベランダ側の窓際に単行本の本棚。
本当は漫画も部屋に飾りたいのだが、場所がないので漫画は押入れに閉まっとります・・・
それにしても、改めて「良く集めたなぁ~」っと、自分でも関心してしまった。
ただね、欲しい本はまだまだ沢山あるんだけど、もうホントに収納場所がない。。。
はぁ~、早くマンション欲しいなぁ~
で、本棚だけの紹介ではなんなので、昨日まで読んでた本の紹介。
まあ、知らない方が殆どでしょうし、基本的に興味のない方が大多数だと思いますが、終戦後、アメリカの占領下にあった日本で起きた、国鉄の下山総裁の死亡事件に迫ったノンフィクション小説。
この事件が起きたのは、昭和24年(1949年)7月6日。
東京郊外の常磐線・下り線レール上で初代国鉄総裁の下山定則氏が轢死体で発見される。
総裁は当日の朝に自宅を出発後、日本橋・三越に立ち寄ったあと消息を断っていた。しかも、その日は、国鉄従業員十万人の大量首切りが発表された翌日であった。
下山総裁は自殺したのか?それとも、殺されたのか?
自殺説、他殺説などの諸説はあるものの、真実は未だに闇の中で、その真相は2005年現在でも未解決のままで、戦後最大のミステリーとなっている。。。
この著者である矢田喜美雄さんは、当時、朝日新聞の記者で、現在は既にお亡くなりになっているのだが、新聞記者になる前はなんと、ベルリンオリンピックの選手として陸上の走り高飛びで5位に入賞と言う非常に変わった経歴の持ち主であり、この本を読むだけでも元スポーツ選手ならではの熱っぽい、粘り強い取材姿勢や根気にただただ脱帽してしまった。
そして、なによりも「下山総裁は自殺なのか?それとも他殺なのか?」という、事件から50年以上も経過してるにもかかわらず、未だに真相が解明されていない「謎」の部分が、そこらへんのどーでもいいミステリー小説を読む以上に面白い!
当時の日本は敗戦によるアメリカGHQ・マッカーサー元帥の配下に置かれ、混沌とした当時の時代背景や当時の政治的な闇の分にも迫っており、多面的に楽しむことが出来る。
今から32年前に書かれた本ですが、上記新風舎より新装版として発売されてますので、「戦後最大のミステリー」として、「戦後の日本情勢を知る情報本」として、ご堪能してみてはいかが?
オススメ度:★★★★☆
「血脈」 血は争えない。親子の「血脈」をめぐる大河ドラマの傑作。 [小説いろいろ]
「血脈」
著者:佐藤愛子
文春文庫:上中下巻

私の好きな曲に童謡「ちいさい秋みつけた」があります。
カラオケでもたまーに歌うし、20年位前、確か安全地帯のアルバムにもこの曲が使われてた。
そんな、誰でも一度はくちづさんだことがあるであろう、この名曲の作詞者が小説の主人公の1人、サトウハチロー氏なのである。
そして、彼の異母妹が作者の愛子氏である。
時は大正時代の初期、人気作家・佐藤紅緑が女優シナに一目惚れ、2人は結ばれる。
しかし、気性が荒く浮気性の紅緑の生活は荒れ果てる。やがて2人の間に生まれたハチロー、紅緑と愛人の娘・愛子も父の「血」を受け継ぎ、3人はそろって波乱万丈の人生を送っていく。
「血は脈々と流れていく。。。」
そんな言葉がぴったりの親子3人の「血脈」を、堂々と描いた大河ドラマの傑作です。
この小説を読んでるとね、「血は争えない」って言葉の意味がホントよく分かる。
小さい頃って、「父の○○が嫌い」「母の○○が嫌い」とかって良く言うじゃない。
大人になっても、ああはなりたくないとかさ。
でもさ、歳をとるにつれ、知らず知らずのうちに、親の好きな部分だったり、嫌いな部分だったりが、自然と似てくるもんだよね。
何故なんだろうか?
親と子では、お互いの人生における「生活環境」とか「時代」とかは確実に違う訳だから、親と子が外的要因で似るとは限らないんだよね。
にもかかわらず、親子が似るというのはやっぱり内的要因、そう「血(脈)」がそうさせるってことなんだろうなぁ。
「血は水より濃い」ってことか。
現在、月曜日21:15からNHKで唐沢寿明主演で、「ハチロー~母の詩、父の詩」のタイトルでドラマも放送中です。
あまり話題にはなっていないようですが、NHKらしい丁寧な作りで見ごたえある作品に仕上がってますので、こちらもオススメします。
オススメ度:★★★★☆
「バッテリー」 童心に返り優しいさを取り戻させてくれる、そんな一冊 [小説いろいろ]
「バッテリー」/1巻
著者:あさの あつこ
角川文庫:1~3巻/教育画劇:1~6巻
はぁ~、何か懐かしいと言うか、ちょっと心くすぐったい感じだなぁ~。
「バッテリー」というタイトルの通り、天才的孤高のピッチャー・巧と、彼を大きなハートで理解するキャッチャー・豪が織り成す青春野球小説。

一昨年の角川文庫化以来、じわじわと売れ始め、今どこの本屋にいってもオススメコーナーの一角を占領してるくらい売れてるみたい。
主人公の巧みは、小学校を卒業しあと数日で中学生になるのだが、精神的には大人以上に大人びいてはいるものの、やはりそこはまだ12歳の少年。
口うるさい母親や、仕事一本やりで巧みのことを何も分かってない(と、巧みが思ってるだけで、やはり親は親なのだが)父親とかに対して常に苛立ちを感じ、その押さえきれない感情を吐き出すかのように渾身のボールを投げ続ける。
分かるよ、巧くん。
私も12・3歳の頃は、今考えるとホントまだまだ子供なのに、もうすっかり大人になったかのような気になってたもんだよ。
母親にちょっと話しかけられるだけでも鬱陶しかったり、父親の存在も何故だか分からないけど、目障りだったり。。。
そんな、誰でも一度は経験するであろう感情を持ちながらも、自分の才能を信じ、ストイックなまでに野球に打ち込む巧の姿がホントに清々しく、そして、彼を取り巻く知人や弟もみんな彼の良き理解者で、常に巧を優しい眼差しで包んでいるのも微笑ましいのだ。
基本的には児童小説というジャンルに属しているので、文章やストーリー、構成も非常にシンプルで分かりやすいが、全般的に登場人物の殆どが善人過ぎててしまい、基本ストーリーから派生する小説としての広がりと言うか、奥行き感に欠けている感は否めない。
私はまだ1巻しかよんでないので、今後の展開に期待大です。
オススメ度:★★★☆☆
「マラケシュ心中」 天分の作家・中山可穂 [小説いろいろ]
「マラケシュ心中」/著作:中山可穂
↑この装丁だけでも素晴らしくない?
年間100冊以上の小説を読んでいるので、それなりに多種多様な作品、作家に出会ってきた。
その中、昨年出あった作家で、私の心を捉えて離さないのはこの人だけ。
中山可穂。
作品の主題が全て女性同士の恋愛だとか、性愛の表現が生々しいとか、作者自身も同性愛者だとか、ある種のスキャンダラスな部分ばかりがクローズアップされて、本当の意味での評価がまだまだ低い。
「マラケシュ心中」は、詩人である主人公・絢彦(女性)と彼の師匠である人妻・泉との究極的な愛の物語である。
この2人の愛の遍歴には、もう普通の人間では理解不可能な域に達しており、ここで提示される恋愛の世界感は、中山可穂の他作品と比較しても濃密で完成度の高いものになっている。
また、彼女は非常に寡作な作家で、現在出版されている著作も同じ頃デビューした作家と比べてもダントツに少ない。
それは何故か?
これは私の勝手な憶測だが、彼女は自分の生き方というか、資質すべてを小説という表現によってさらけ出している為、1作を生み出すエネルギーが他の作家とは比にならないのでは思う。
同じような年代の女性作家、村山由佳や唯川恵とかくらべても、作品あたりの濃度が本当に違う。別に彼女らの作品が悪いとか、つまらないという訳ではないが、(村山作品は。。。だがね)やはり読後感が全然違うんだよね。
中山可穂の作品をもっと沢山読みたいとは思うけど、読む側も心して読まないとこちら側のエネルギーも消費させられるし、先生自身も量産することは難しいだろうから、年1冊ペースでかまわないので、選ばれた天分の小説家だけが生み出せる作品を提供しつづけて欲しい。
ちなみに、彼女の作品を未体験の方は、
「猫背の王子」/★★★★☆
「サグラダ・ファミリア」/★★★☆☆
あたりかたからどうぞ。
私個人のベストは、
「白い薔薇の淵まで」/★★★★★
です。
オススメ度:★★★★☆
「夏の終り」 瀬戸内寂聴さんの原点的作品 [小説いろいろ]
「夏の終り」/著作:瀬戸内晴美

尼さんであり、現役の作家としてもおなじみ、瀬戸内寂聴さんが“晴美”だった頃の作品。
男+女+男=チョメチョメ(山城シンゴ風→古いなぁ~)
三角系で展開されるので、まあ、特に目ずらしいストーリー展開はない。
三角関係モノで言えば、江国香織さんの「きらきらひかる」の方が断然いいね。
参考オススメ度:★★★★☆
とはいえ、瀬戸内先生らしい女性心理の鋭いえぐり具合が、なんとも心揺さぶる。
特にダメ男にずるずるとすがり続ける女の姿、あるいは未練がましさは、特筆モノだね。
私は三角関係の経験はないので、ちょっとあこがれるなぁ。。。
オススメ度:★★★☆☆





























