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ブロークバック・マウンテン、今年必見中の必見作です! [映画いろいろ]

■ブロークバック・マウンテン

監督:アン・リー
出演:ヒース・レジャー 、ジェイク・ギレンホール 、ミシェル・ウィリアムズ 、アン・ハサウェイ

昨日、初日に見て行って既に24時間以上たってる訳なんだけど、未だに私の心の中で「切なさ」と言う名の感情が蠢いているようです。ここ数年見た映画の中でも、ここまで心の奥底に響いた映画はないかもしれない。

明日発表されるアカデミー賞で最多8部門ノミネートされるなど、公開前から話題となっていた今作。話題は何と言ってもアメリカ男児の象徴であるカウボーイ同士の同性愛と言う、ショッキングなテーマにあることは間違いないでしょう。劇中でも激しいセックスシーンもありますし。

そんなことよりも何よりも心を打つのは、この映画で描かれているのは「人間が生きること」そのものであり、そこで生まれる「喜怒哀楽」、人間の本質的な感情の全てが出ているからだと思います。

ちょっと前置きが長くなったので、ここで簡単にストーリーの説明を。。。

古きよき時代の1963年ワイオミング州。羊の放牧管理で雇われた20歳の青年イニスとジャックは、美しい自然が広がるブロークバック・マウンテンでひと夏を2人だけで過ごすこととなる。過酷なキャンプ生活の中、お互いを助け合いながら暮らし友情を育むうちに、その友情がいつしか男同士の許されない感情へと昇華していく。

ひと夏のキャンプも終わり離れ離れとなった2人は、それぞれ家庭を持ち妻と子供と一見幸せそうな生活を送ってるかのように見えたのだが、4年後のある日、ジャックからの手紙がもとで再会し、その後16年にも渡る隠された愛を育み続けることとなるのだが、保守的な時代、現実は2人に厳しく立ちはだかり。。。

映画の前半は美しい自然の映像に魅せられ、主人公2人の愛情とも友情ともつかない関係を優しい感情で見ていられるんだが、後半の展開からはもう切なくて切なくてポロポロ涙が落ちてしまった。

注:以下ネタバレ

20年の歳月を経て40歳となった2人が湖にたたずみ、イニスが自らの心に内を爆発させ泣き崩れるシーン。もうさ、このシーンのイニスの心を心を思うと切なくて仕方なかった。
多分、イニスはジャックに出会わなければ、同性愛に目覚めることとはなかったと思う。
ジャックは元来の同性愛者だとは思うが、イニスの場合は、たまたま、愛してしまった相手(ジャック)が男性だったんだと思う。
だから、このシーンでのイニスの心の叫びは、自分でもどうすることも出来ないことへの苛立ちや悲しみ、切なさ、などなど。彼の心を思うと、見ている方も切なくて心が引き裂かれる思になる。

さらに、多分、同性愛者であることが元で殺されたであろうジャックの実家を訪ね、彼の部屋で発見した血に染まった2枚のシャツ。
キャンプ生活の最後の日に、2人が初めて殴り合い互いのシャツを血で染めてしまい、イニスはそのシャツを「無くした」と前半のシーンで言っていたが、実はジャックが盗んで持っていたのだ。

盗むと言うと表現は良くないが、ジャックは本気でイニスを愛していて、もしかするとこの別れが最後に別れになると思い、イニスの思い出としてこのシャツを盗んだんでしょう。
そのシャツを20年もの間自室に仕舞い込み、イニスのシャツをジャックのシャツが優しく抱くように包まれ、それを発見し抱きしめるイニスにまた、涙、涙、涙・・・。

さらに、さらに、ラストシーンでも落ちぶれたイニスの薄汚いトレーラーハウスで、娘の帰宅後にクローゼットをあけ、今度はイニスがジャックのシャツを包み変えられ、その横にはブロークバック・マウンテンの絵葉書が・・・。もう、このシーンでは鼻水もずるずるで、スゴイ状態になってり、エンドロールで流れてくる曲「he was a friend of mine」の歌詞でさらに号泣でした。。。

別にお涙頂戴の映画では無いんだけど、とにかく切ないんです、この映画。

また、話題は主人公の同性愛にばかりスポットが当たっていますが、それ以外にも2人の妻や両親との家族関係にもしっかり焦点が当たっていて、イニスが同性愛者だと言うことを目撃してしまった妻の切ないことったら、ないんですよ、これが。どうします、自分の愛した旦那が、見知らぬ男と激しくキスをしているのを目撃してしまったとしたら。。。

書きたいことはもっとあるんだけど、私のレビューなんかと見るよりは、兎にも角にも、映画本編を見て欲しいです。描かれていることは同性愛が中心ではありますが、ここで描かれている様々な人間の感情、とくに「切なさ」に心を打ち抜かれるでしょう。

オススメ度:★★★★★(これ以上の価値あり)

原作はこちら

ブロークバック・マウンテン

ブロークバック・マウンテン

  • 作者: E・アニー・プルー
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/02/17
  • メディア: 文庫


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コメント 7

はなママ

久々の更新★   待ってました~♪

「カウボーイ」「同性愛・・しかも、男同士」日常生活の中では、とっても縁遠いシチュエーションだけど、なかなか、奥深いとゆうか・・観てみたいなあ!!
いつもは、映画は夫婦で観に行くのが楽しみなんだけど・・この映画に関しては、一人でじっくり観たい気がする。

今度のアカデミー賞ノミネート・・同性愛・テロ・人種差別・報道の裏側・・
(今、特!ダネでやってた)そんな作品があるせいか、かなりの厳戒態勢らしいね。
あっっ!!「ブロークバック・マウンテン」・・ピーコも感激★って言ってたよ。
「おピカさん」達者で暮らしてるのかなあ??
by はなママ (2006-03-06 09:21) 

ピカチュウ

ホントso-netのブログ重くて、もう更新するの嫌になってきてるんですよ。
この映画、夫婦で見るのはやめた方がいいですよ、絶対に。
「もしや、うちの旦那もホモでは!?」って疑念を持つかも(苦笑)
特ダネ、私も見てた。
相変わらず、笠井アナがはしゃいでたのが気になった。
by ピカチュウ (2006-03-07 20:29) 

びあんこ

はじめまして!
「ブロークバック・マウンテン」、私もやっと昨日、見てきました。
待ちきれなくてかなり前から原作、脚本、ネタバレのブログなど読んでしまって、それでもイニスとジャックが最後に会うあたりから涙が止まらず。
またすぐに見に行きたいです。
http://emmanueltb.cocolog-nifty.com/blog/
by びあんこ (2006-03-08 19:51) 

新作まだかな

アン・リー監督 おめでとう&残念
「ウェディングヴァンケット」から注目してましたゼ。
「BBM」は更に昇華、熟成されてます!
男女のラブストーリーだと、結末はわかりきってますけど相手が同性に
なると、ヴァリエ−ションも増えて、話は複雑。
これからの純愛はゲイの世界でしか成り立たない!
       (…と、思ってます。だから、中山可穂ガンバレ!)
そして作り手の人間性が出ます。スッゴク出てます!
おピカさんも仰っておりますが、アメリカ男性の
「強さ」への憧れ=カウボーイを素材にするとは…。
東洋人だからこそできる、アメリカへの挑戦状ですね。
その点、アカデミーの監督賞は、お茶をニゴされた感が
どーしてもぬぐえない。
「この作品をイチオシにしたら、自分がそう思われるのでは…」
「君の作品は素晴らしいけど、
         その世界観は認めたくナイ…」
「ま、監督賞あたりで…」       というような。

はなママさん このテのものは女性のお友達と行きましょう!
    →→→→→→デートに同性愛映画を選んで失敗している私
by 新作まだかな (2006-03-09 18:54) 

ピカチュウ

>びあんこさん
鑑賞後、既に6日経つのに未だにこの作品のことを回想すると泣きそうになる。
私も今月内にもう一回見ます~。
今も仕事中にサントラ聞いて、余韻に浸ってます・・・

>新作まだかなさん
私も「ウェディングヴァンケット」以来、アン・リー監督作は見つづけているので、彼の成長ぶりを感じています。前作「ハルク」で、「リー、これはヤバイぞ!」っと思ったのですが、ホント良かった。
東洋人だからこそできる、アメリカへの挑戦状ですね。
↑全く同感。この難しい問題は、アメリカ人では扱いきれないでしょうね。
つーか、怖くてできない。
これって、日本で言えば、カウボーイをサムライにすれば分りやすいはず。
「用心棒」のサムライ(三船)のゲイ物語は、絶対的に許されないしね。
by ピカチュウ (2006-03-09 19:55) 

新作まだかな

いや、許します! つ〜か、観たいです♥
武士の風俗としてホモ(衆道)は公認でしたので、大アリです。
有名なところでは信長と蘭丸…。弁慶と義経も怪しいな。
八百屋お七が恋した相手も、お兄ちゃんのいる人だったし。
アニキをもつことや弟分を可愛がることは、美学にも通じていたので
相手がいないのは、世間的には野暮なヤツという評価に…。
だから、【三船+可愛い弟】のセットは、◎!
by 新作まだかな (2006-03-09 21:24) 

Gary

Well done!
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by Gary (2006-05-09 15:22) 

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